歯医者が怖いという話
だいぶ昔に歯医者で辛い思いをしたことがある。
麻酔が効かなくて根管治療が痛くて痛くて仕方なかった。痛い!痛い!と先生に告げると「ここまでほったらかしたあなたが悪い!自業自得だ!」と先生に言われた。そして痛いまま治療を続けられた。自業自得なのは「それはそう!」なのだが、そんなこと言われたショックとあまりの痛さがトラウマになり、歯医者が怖くなってしまった。どれくらいから歯科恐怖症と呼ばれるのかは分からないが、片足は突っ込んでたと思う。
それからずっと歯医者を避けてきた。虫歯がありそうな気配を感じては「行かなきゃ」と思ったが、行く勇気は出なかった。そうこうしているうちに「行かなきゃ」を年単位で繰り返した。
もう自分の力では行けないのでは??と思い始めた頃、地元に良さげな歯医者が新規オープンしたことを知った。なぜだか分からないけど「ここに通おう!予約もしてしまおう!」という気持ちになった。この気持ちがなくならない内にとすぐに予約した。
あの日勢いで予約を取らなきゃたぶんまた何年も「行かなきゃ」を繰り返して歯がボロボロになってたと思う。あの日の私はとても偉い。
初診の日、先生に「歯医者が怖いこと」と「治療には積極的に麻酔を使ってほしいこと」を言うぞと心に決めて来院した。
レントゲンを撮り、今日は虫歯の治療ではなく、歯石を取ると言われた。歯医者が怖いことも麻酔のことも先生に伝えられていなかったが、今まで歯石取りはなんともなかったので「まだ伝えなくていいか」と思い、そのまま歯石取りがスタートした。
・・・クソいてぇ。
痛すぎて気を失いそうだった。
え?歯石を取るのってこんなに痛いものなの?
今思えば痛いと思った時に先生に素直に言えばよかったが、その時の私はなぜか耐え続けてしまった。10分以上耐え続けたところで先生に「大丈夫ですか?」と聞かれ、「もう心が折れそうです・・・(´;ω;`)」と返事した。そこでようやく歯医者が怖いことや麻酔をしてほしいと思っていることを伝え、その日の歯石取りはこれにて終了となった。
先生曰く、歯茎の中に歯石がたまっている、歯周病が進行しているそうだ。今後は虫歯の治療と合わせて歯石取りもやっていくと言われ絶望した。
この日の歯石取りが痛すぎてもう無理!行かない!と何度も思ったが、歯がボロボロになるのはもっと怖くてこの日から約3か月心を無にして通った。
表面麻酔からの麻酔。そして虫歯の治療後に歯石取りの日々。歯石取りは主に手動のスケーラーでガリガリ。奥歯の歯石が特にひどいと言われた。
たまに「麻酔の痛みは大丈夫なの?」と聞かれるが、麻酔は今から痛くなると分かっているから耐えられる。歯を削るときなどの痛みはいつくるか分からないのが怖い。いつくるか分からない痛みへの恐怖心で治療中は常に気を張っていて体はガッチガチに固まり、血が出そうなくらい拳を握り締めてしまう。疲れる。
今日歯医者の先生に「今月中に治療が終わりそうです。もう少し頑張ってください。」と言われた。ようやく終わりが見えてきた。
治療が終わったあとは、3か月に1回は定期検診に行こうと思っている。まだ歯医者は怖いし行きたくはないけど、ひどくなってから行った方が辛い目にあうことが今回よく分かった。
トラウマを抱えさせたあの歯医者を一生恨む。この前その歯医者の前を通ったら閉院したようだった。バーカ!バーカ!ざまあみろ!と思いながら通り過ぎた。